人生と家造りの正解はなかなか出せない……ならば、 とりあえずフレキシブルに

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3軒家を建てれば理想の家を手に入れることができるとか。どんなに綿密にプランを練って実現したマイホームでも、実際に住んでみれば何か違うと感じたり、生活の変化などで使い勝手が変わったりして使いづらい部分が出てきたりということで、3回建て替えとまではいかなくても、何度か大規模リフォームをされるお宅は確かに多い印象です。将来の予測はできなくても、大きなリスクを背負わずに暮らすための方法として、フレキシブルな間取りを考えてみませんか。

どこからでも絶景

キッチン、ダイニング、リビングをひと続きにしているのは、変わらず好まれる間取りです。こちらの住宅では、LDKスペースが広々として家族が集まりやすい雰囲気になっています。そのうえ、必要とあらば部分的に仕切って独立した「部屋」として使うことも可能。写真のお宅は天井にレールが設置されていて、可動間仕切りを開閉して仕切ることが可能です。おまけに仕切ったどの部屋も大きな窓から南側の山、北側の海、その両方の景色を堪能することができるんです。

時にはひとりになりたい

仲良し夫婦だって時には別々に眠りたいこともあります。あまり見かけませんでしたが、見れば納得のこのプラン。夫婦のベッドの間に可動間仕切りを装備。ご夫婦の就寝時間が異なってもお互いに苦になりません。この間仕切りは収納して広々としたひとつの部屋として利用することもできます。また、子供の部屋としても、小さい時は一つの部屋で過ごさせ、ある程度成長したら間仕切りを引いて独立した部屋として使わせるなど、応用できますね。

子供の部屋は柔軟に

家のプランで悩むことのひとつが子供部屋のこと。特に兄弟姉妹の多い場合、各々に単独の部屋を造ると、彼らが独立した後は使い勝手の悪い小さい部屋がたくさん残ってしまうことに。そこで写真のお宅は、子供がまだ小さいので、3人分の個室が作れるスペースに壁を作らず、カウンターを配して親子5人が一緒に使えるワークステーションとしました。間仕切は子供が成長してから検討。アイロンがけをするお母さんやパソコンを使うお父さんの横で子供たちが勉強できる素敵な子供室です。

白と光の魅力

こちらは築25年の2LDK分譲マンションを贅沢な1LDKとした例です。リビングと個室との間の壁は可動間仕切りなので開放時には広いワンルームとしても使うことが出来ます。間仕切りにはガラス入りの大きな開口部がありますので、閉めた状態でも狭さを感じさせません。床壁天井を全て白で統一していますが、冷たさを感じさせないのは、窓だけでなく間仕切りに設けた開口部により圧迫感や閉塞感がないからでしょうか。

コンクリートの温かさ

コンクリート仕上げですが、全体的に冷たさを一切感じないのは、床に杉の無垢材を使い壁にも要所に木の温かみを生かしていること、キッチンのカウンターには沖縄から取り寄せた花ブロックを用いていること、和室の天井はそこだけ低く設置し「座敷」の居心地の良さを追求していること等々、本当に表情の豊かなワンルームに仕上がっています。和室は来客時に障子を閉め切ればプライバシーが確保できるようになっています。

間仕切りのない大空間

今現在はとりたてて必要のない2階部分は、思い切って間仕切りなしのワンフロアのままにしておく。必要になった時に改めて仕上げるということは予算もムダにせず賢い選択だと思います。ワンフロアのままだから使い勝手が悪いというわけでなく、床壁天井の内装はきれいに仕上げてありますので、いつでもフレキシブルに使用できます。広いので身内や仲間の集まりに使用したり、ちょっとした運動器具を置いて自宅フィットネスもできます。卓球台だって置けますよ。

カーテンでしっかり間仕切り

こちらのお宅は閉めることで廊下が出現するというプランです。通常は開け放して、1階から続く吹き抜けのようなイメージで広々と使っていますが、予備室を使用したい時にスライド式のカーテンで仕切ることができます。たかがカーテンされどカーテン、引くだけで断熱の効果も大きく音もある程度遮ることができます。家全体の採光が取りづらいお宅などは予備室から取り入れた光を下の階まで届けるために壁がないことが生きてきますね。

LDKは丸々一戸分

写真のお宅は2DKマンション一戸分の広さをひとつのスペースにしています。壁には一面カウンターが配され、普段はお母さんの家事や子供達の勉強に使われますが、ホームパーティの際にも便利ですね。天然木がふんだんに使われていますので、全体的に温かい感じです。収納も兼ね備えた小上がりの和室は可動式ですので目的によって場所を変えることも可能です。もちろん、将来的に間仕切って部屋を確保することもできます。

開かれた寝室

主寝室と子供室の扉はどちらもフルオープンです。開け放つと隣接する吹き抜けと一体化しますので、自分の部屋に居ながらも家全体の様子をうかがうことができます。また、それぞれの部屋から吹き抜けに繋がるロフトに出ることもできます。子供が独立して子供室が必要なくなれば、将来ワンフロアにして違う使い方もできます。吹き抜けやロフトによって採光や通風も変化に富んだ暮らしが楽しめそうですね。
家をフレキシブルに使う際に多く使用されているのは、引くことで開閉できる間仕切りのようです。即ち、日本古来から使用されている引戸、障子・襖などはとても優れた建具だということを改めて感じました。本格的な日本家屋では行事の度に建具を外すと大きな空間を作ることができます。暮らしに柔軟に対応できる家を造る、また、家をフレキシブルに使いたいという想いは、元々日本人の持って生まれた自然な感性なのかもしれませんね。

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ライター/writer さんたまる