「ライフスタイルに合わせて建物を変える。」「生活でメインとなる空間にだけにこだわる。」など、リノベーションには住む人の思いが表れます。その思いは既存の建物の歴史の上に組み立てられるため、建物ごとに異なるストーリーが生まれます。
単に水回りを変更するだけでなく、導線やデザインにとことんこだわった、毎日が楽しくなる住まい。今回は、大胆な発想と繊細なデザインセンスで、ドラマのように生まれ変わったリノベーションの事例をご紹介します。
二人暮らしのための55m2のリノベーション
RC構造の躯体の天井壁をモルタルで薄く仕上げることで、コンクリートの荒々しさを抑えています。光を通すカーテンが開口全体にしつらえてあることで、さらにやさしい雰囲気に包まれています。
築50年以上のRCマンションをリノベーションしたこの住まいは、外部と居室の間にインナーバルコニー的な空間を持たせることで、複数の窓から、明るさと開放感を取り込んでいます。その恩恵は浴室にも及びます。
もともと1K2世帯だった部屋を一つにして、間仕切りや不要な設備を全て撤去し、55㎡の一室に仕上げています。1Kの賃貸マンションの空き家対策としても注目のリノベーション事例です。
光天井が生み出す爽やかなリノベーション空間
ガラスの間仕切りも光天井も水回りを明るく開放的にするためのもの。中心に据えられた観葉植物がまるでトップライトのある中庭にいるような気分にさせてくれます。
随所にあるアーチ型のステンレスの出入り口は、部屋から部屋への心理的な区切りを作り出しています。
リノベーションを行うことで、ラウンジから寝室、寝室から、洗面室・バスルームへと回遊できるレイアウトに変更され、より住みやすい住まいに。
間仕切りを極力無くした開放的な空間でありながら、プライバシーも保たれている快適な住まいです。
古建具が活きる和モダンリノベーション
リビングと廊下の間仕切りに重厚な古建具を使うことでこの空間の雰囲気は決まりました。床の色、キッチンカウンターの色、畳のヘリの色、窓サッシの格子の形状に統一感があります。リノベーション時に残された時代を感じる柱にもしっくり馴染んでいます。
床下収納のついた小上がりの和室は、キッチンと対極の位置にあり、ゆったりくつろげる場所となっています。
小径のダウンライトの多数配置で、天井がすっきりしているだけでなく、エアコンを縦格子のケース内に収納するなどにより、和モダンのデザインにどっぷりと浸れる空間となっています。
築50年の長屋再生リノベーション
木造2階建ての1ルーム4戸の長屋をフルリノベーション。フローリングと木製合板の天井と壁が、部屋全体を気持ちのよい落ち着くデザインにしています。
自転車が置ける土間、高い天井、土間越しに入る光など、このアパートにはコストを抑えながら建物を再生させる技が溢れています。また、時代の変化とともに私たちの生活スタイルが大きく変わっていることも感じさせるリノベーションです。
プライバシー確保のため、居室を狭くしてでも土間空間やルーバーテラスを配置する設計手法が採用されています。建物を時代のニーズに合わせ変えていくことで、本当の再生を果たしていると言えます。
メゾネットタイプのマンションのリノベーション
1階に寝室やバスルーム、収納などを配置することで、2階のフロアー全体をリビングダイニングとして贅沢に使っています。手すりのない階段部分は大胆な発想で目を引きます。
構造そのままをあらわしたコンクリートの天井と壁。真っ白に塗装しただけの仕上げが、リノベーションであることを強調しています。その白い天井壁に合わせたのは、褐色のフローリングと家具。その色合いによって空間に上品さがプラスされています。
リビングの棚や収納は必要最小限。シンプルなライフスタイルを感じます。緑豊かな環境に立つ、マンションの価値をさらに高めるフルリノベーションです。
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ライター/writer hotagos