「狭小地に住宅を建てる」ことは、物理的な多くの制約の中で、可能性を最大限まで追求し、希望を実現することだと思います。狭小地に建つ3階建住宅には、そのために考えらえた建物への工夫がちりばめられています。練りに練られた建物が放つオーラ、極限まで突きつめた、美的センスを感じる外観。その建物の共通点はどこにあるのか?難しい条件に取り組んだ事例を見ながら、先人のアイデアの中で普遍的と思えるものを探ってみました。外観の美しさと内部の工夫という二つの観点から厳選した6事例をご紹介します。
玄関・窓の配置が機能的で美しい
「間口が狭い」という土地の特徴から、狭い壁面に玄関や窓を配置することが必要となる場合があります。この事例では、それらの開口部のデザインが統一されていて、配置も美しくとても素敵です。見ていてまったく飽きません。このように窓を配置できる理由には、建物内部の設計にも工夫があります。ここでは、トップライトを配置することで採光を確保し、吹き抜けを通して光が降り注ぐ住まいとなっています。
2階部分が跳ね出すデザイン
こちらの事例も、狭小地に建つ住宅に共通する、凝縮感を外観から感じる住まいです。駐車場を確保しながら部屋を広くとるために、1階よりも2階の方が少しせり出しているという建物の特徴は、事例の共通点と言えます。そしてその飛び出した部分が玄関の庇代わりになっていることも、敷地内の空間を立体的に生かすアイデアですね。また、外観からは考えられないほど、室内が明るく広く感じることも共通の特徴かもしれません。
シンプルさの中にも個性を感じる
限られた空間で建物を設計する場合には、「必要なものを再認識し、不要なものは切り捨てる勇気」が必要だと思わさせる建物です。その潔さは、外観に現れています。外部に使う素材にこだわり、色にこだわり、パネルのサイズまでこだわることで生み出された個性は、見た目以上の何かを感じさせます。シンプルさの中にも、建物ごとに必ず個性があるのは本当に不思議です。
両隣の建物からの制約をものともしない
都市部の狭小地では、両隣が隣接していることも多いかと思います。建物同士が隣接していると、日常的に開けられる窓が限られるので、明るい部屋にするための工夫が必要になります。この事例でも、トップライトを取り入れ、室内の明るさを確保しています。さらにこの建物には、賃貸スペース部分があり、玄関部分が複数あることに驚かされます。立地が良ければ、建物には賃貸としての価値も生まれます。ここでは、狭小地でありながら、その価値を見事に形にしています。
窓からの光が、外観を美しくするアクセントに
こちらも、30坪程度の狭小地に立つ住宅です。玄関上の跳ね出した部分がとても素敵です。大きく取られた窓のある部屋は、カフェスペースとなっています。跳ね出した二階部分が、玄関の庇代わりになっているのは、他の事例との共通ですね。四方が住宅に囲まれたうえに、奥まっている難しい立地に建つ姿に、堂々とした美しさを感じます。また、室内が3世代の家族構成に対応した間取りであることも驚きです。
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2013年11月28日投稿
住宅の構造・工法
鉄骨造
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ライター/writer hotagos