トップライトの光がもたらす、空間の広がりと奥行き

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トップライト(天窓)の魅力。それは、効率良く光を採り入れることができること。
壁面の窓の場合、光は方角によって決まった時間しか入りませんが、
トップライトは一日を通して、一定の明るさが得られます。
しかも、ただ室内を明るくするだけではありません。
設計デザイン次第で、スポットライトのような光や間接照明のような柔らかな光にもなり、
空間にさまざまな表情と奥行き感を生み出すことができるのです。

白い壁の、開放的な明るい階段室

 階段室はトップライトからの光を効率良く採り入れることができる場所のひとつです。
 本来ならば暗くなりがちな階段室ですが、吹き抜けにすることで、階上部のトップライトからの光をそのまま下階へと行き渡らせることができます。
 この実例のように、白い壁面が光の反射率を高め、さらに蹴上げ板をなくした踏み板だけのデザインにすることで、開放的な明るい空間が生まれます。

地下室まで射し込む、採光計画

 ここは地下1階の子ども室。けれども、頭上には、自然光が射し込みます。
 住宅密集地に立つ、地上2階・地下1階の住まい。近隣の家が迫り、室内への採光が望めなかったため、最上階にトップライトを設けて家全体を明るくする計画にしました。
 光は螺旋階段を辿り、ご覧のように地下まで届きます。季節や時間により、日射の調整が必要な場合は、ブラインドを使います。

スリット窓からこぼれる、優しい光

 家には、ほんの少しだけ、光が欲しい空間があります。太陽のまばゆい光ではなく、木の葉からこぼれ落ちるような静かな光ーー。
 こちらは番外編。広いエントランスに、斜めに傾けてデザインされたスリット窓からは、優しい光が注いでいます。近隣の家からの視線を遮りつつ、明るい陽射しを取り入れる工夫です。自然光は土壁の質感を際立たせ、空間に奥行きをプラスします。
今回は「光」に焦点をあてましたが、オープン式のトップライトなら、通風や換気の役割も担います。
もちろん、日が暮れて室内灯を点ける時まで自然光で過ごせ、省エネにもつながります。
たんに明るさを求めるだけでなく、トップライトを見上げる愉しみもあります。
家にいながら、昼は移りゆく空の表情や雲の流れを、夜は月や星を眺めて過ごすことができるのです。

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2014年05月30日投稿 住宅設備 トップライト (回答数2)
ライター/writer 西岡