日本の冬の風物詩といえば、炬燵にミカンでした。しかしそれも今は昔。現在はモダンな和室ならいざ知らず、野暮ったい炬燵は苦手として置いていない家は多いのでは?さて、近年はあまり人気のない炬燵ですが、住宅向けの掘り炬燵は、柳宗悦らと交流し日本の民藝運動に影響を与えたバーナード・リーチが最初に作ったと言われています。日常の美を追求した彼が作った住宅用の掘り炬燵は、現在どのようになっているのか見てみましょう。
優しい光に包まれた日常が過ごせるリビングの掘り炬燵
群馬県は強い北風が吹く「空っ風」でも有名。高崎市にあるこの住宅は、従来の布団を使うタイプの掘り炬燵です。吹き抜けの窓やバルコニーから差し込む光が、優しく素敵な和風の風情を醸し出しています。バルコニーの窓の下には放熱器が施工されていて、室内全体を温めてくれています。夏は掘り炬燵は床に収納できる仕組みになっていて、季節ごとに住まい方を変えられます。日常をよりよく過ごせる工夫が家全体から感じられます。
自然素材を使った、シンプルな部屋の掘り炬燵
白い漆喰に囲まれた杉の板の間は、和室にある柱や長押が見えず、天井が高いので無国籍な印象を与えます。白い漆喰が光を反射して少ない照明でも部屋全体がほのかに明るくなります。その中にぽつんを現れた畳の上がり。シンプルに住まおうとする人の様子が伺えます。上がりの下は収納になっているのでしょうか、引き出しがついているのが見えます。正方形の小さな掘り炬燵は、少人数で住むには十分な大きさです。
背の高いテーブルを置かずに掘り炬燵で団欒
琉球畳を取ると、掘り炬燵が現れます。壁も天井も床も木目を生かした木材がふんだんに使われ、イサムノグチがデザインした和紙のペンダントライトが暖かく照らす部屋。真柱が見えるオーソドックスな和室の作りですが、普通は見せない筋交いを見せたり、壁を漆喰や聚楽にせず、シナ合板の木目をそのまま見せているので、無国籍のアジアンテイストにも感じられます。掘り炬燵にすれば、背の高いテーブルを置かずに住むので、部屋全体が広く見えますね。
関連まめ知識
関連Q&A
ライター/writer yumisong