北側の部屋は暗くて寒い。南に面する部屋に対してそのようなイメージがあります。現実その通りで、北側にしか窓がない部屋では直射日光は望めません。そのため一般的には南面にリビングやダイニングなどの居室を配置し、水回りを北側に持ってくることが多いでしょう。しかし敷地の形状や立地によってはそのようにできない場合や、北側に居室を設けることで住まいがグッと魅力的になる場合もあります。今回は北側空間を巧みに活かした空間事例をご紹介します。
借景を楽しめる大開口のある北側の部屋
目の前に美しい雑木林の借景が広がっています。部屋に直接日差しが入らないかわりに雑木林に日が差し瑞々しい緑を楽しむことができます。日差しに照らされた緑から間接的に明るさを感じられるだけでなく、景色が美しく見えるのは北側の部屋の大きなメリットですね。
夏場の緑が美しい季節に直射日光に当たらず暑さを避けられるのも北側ならではです。小上がりをつくることで開口の縦横の比を調節しパノラマの風景を眺められるようにしたアイデアが借景をさらに魅力的にしています。窓上には電動スクリーンが組み込まれ映写室としても利用できます。静かで落ち着く北の部屋に相応しい使い方ですね。
あえて北側に設けられたリビングダイニング
道路を挟んだ隣地の樹木の風景を楽しむために、あえて北側に設けられたリビングダイニング。部屋の明るさは吹き抜け上部の南側に開口部を設けることで解決しています。南向き開口に大きな窓というセオリーを破る大胆で論理的な住まい。立地を最大限に生かしながら明るさと居住性を両立させています。
11坪の店舗付き住宅でいかに快適に暮らせるか。その答えとしてあえて北側に居室をとることになったのではないでしょうか。狭小地で南面に部屋を取るのが難しい場面などで参考になりそうですね。
北側にある明るく開放的な浴室
ホーローの浴槽と十和田石を使った床で構成された落ち着きのある浴室。この浴室が開放的なのは北側の全面ガラス窓のおかげですが、北側の浴室にもかかわらずかなり明るく感じるのはトップライトの恩恵が大きそうです。北側にある浴室は暗くなりがちですが、トップライトがあればプライバシーを守りつつ明るさを確保できます。
北側のガラス窓にはブラインドが設置されているのでしっかり閉めておきたい場合にも問題ありませんね。
北側の大きな壁に間接照明のあるリビング
東面にも階段スペース奥にも窓はありますが、北面に大きな壁面がある2階のリビングです。隣地の日照を確保するために北側には北側斜線という建物の高さ制限がかかることがあります。
この住まいも3階建てですが、リビングの北側が北側斜線の制限により部屋を取るための十分な高さを確保することができません。そこでわずかなスペースを利用し間接照明を設置しています。トップライトのような明かりが他の窓から光と合わさり自然で優しく明るく空間を照らします。空間を巧みに活用することで心地よいリビングに仕上げられています。
吹き抜けと天窓のある北側の勉強スペース
リビングの吹き抜け上部に設置された勉強スペース。北側斜線の制限により斜めになったデットスペースが利用されています。北側のメリットとも言える落ち着く空間にトップライトで安定した明るさが確保されており勉強スペースとして最適です。急勾配の屋根につけれたこのトップライトが机の真上あるので、直射日光が入らない北側のほうが好都合かもしれません。
作り付けカウンターのあるちょうどいい広さの空間は勉強に集中できそう。リビングと吹き抜けでつながるこの勉強スペースには北側の良さが余すところなく取り入れられています。
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ライター/writer hotagos