我が国における65歳以上の高齢者の人口は2013年時点で、総人口に占める割合の25.0%となり、過去最高となりました。もちろん、現代の60代はまだまだ若くて高齢者と呼ぶのははばかられますが、その後の70代、80代、90代を過ごす家造りはそれまでに考えるべきです。できればいつまでも馴染んだ土地で、住み慣れた我が家で暮らしたい、誰にでも訪れるシルバーライフを有意義に過ごすために今から考えてみませんか。
ワンフロアで全て事足りる気楽さ
高齢化と共に上り下りというのはとても大変な作業になると同時に、転落の危険も否めません。出来れば生活空間は縦ではなく横の動きで事が済むようにしたいものです。そういう意味では、マンションと同じ感覚の平屋建ては理想ですが、今お住まいの家が2階3階建ての場合は、1階を高齢者世帯、2階以上を子・孫世帯にするなど、縦でなく横で仕切る2世帯住宅にすることをお勧めします。使わなくなったフロアは将来的には、賃貸にすることも可能です。
私仕様の素敵さと便利さ
高齢者のお宅というと、まず連想されるのが手すりの多用。手すりはあると便利ですが、介護度の変化につれて役に立たなくなったり、つけてある場所や数によっては、生活上の邪魔になったり、インテリアを損なったりもします。写真のような棚状の手すり。例えばそこに絵画が飾ってあっても自然です。右側の下駄箱も手を添えるにはちょうど良い高さでこちらも十分に手すりの役割を果たします。手すり=棒という観念を捨てて、安全で快適に暮らしましょう。
いつでも四季を感じられることの嬉しさ
高齢者の施設や病院で一番残念に思うことは、部屋から緑のある場所までが遠いこと。植物には私たちの心と体を癒してくれるパワーがいっぱい。自宅なら庭やベランダで、いつでも好きな時に四季を感じることができます。縁側に座ってお茶を飲みながらほっこりするひとときは、想像するだけでも幸せを感じますね。万一病床に伏すことになった時でも、部屋からその時々の自然を眺めることができるのは、精神衛生上とても良いようです。
ゆとりのある空間の快適さ
いつか車椅子に乗らなくてはならなくなった時のために、細かい間仕切りのない間取りにしておくのがベストかと思います。特にトイレ・浴室・洗面・キッチンなどは、車椅子が入る広さと、介助のための寸法も考えてゆったりとした空間にしておくと良いでしょう。特に車椅子のことを考慮しなくても、ゆとりのある部屋であれば、すっきりして障害物が少なく、家庭内での事故の心配も軽減します。
人が集うことの楽しさ
高齢者がいつまでも元気に過ごすための一番の刺激は、人と会って話をすることです。身内や友達がいつでも気軽に遊びに来られるようなウエルカムなお家が理想ですね。独居もしくは夫婦ふたりきりだと、室内の寸法を何でも小さくしがちですが、お客様のことも考えて、広めのリビングを用意してはいかがでしょうか。テーブルも大きめに。屋内にスペースが取れない場合は、ベランダもしくは庭に集える場所を作るのも素敵ですね。
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2014年07月16日投稿
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ライター/writer さんたまる