リノベーション。専門家の英知により蘇る家屋と空間。

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時は好景気、繁栄の時代。リゾート開発が進む小さな漁師町に、雇用と楽園を求めた若者たちが、イワシの群れのごとく、ワチャワチャと集結しました。仕事を終えた若者たちは、夜な夜な、宿泊施設が建ち並ぶ海岸に引き寄せられ、月明かりの下、観光客との甘くもほろ苦い、青春の1ページを綴ります。その楽園から少し離れた海岸沿いに、四階建ての社員寮が、ひっそりと佇んでいました。真夜中、建物は、青春に敗れた若者たちを迎え入れ、朝になれば、仕事に送り出す日々を繰り返します。季節は巡り、繁栄の時代が終焉を向かえました。産業が衰退すると、町から若者が消え、社員寮から社員が消え、やがて建物は、陽光と潮風に晒されながら、廃墟と化します。いくつかの時代を経て、リノベーションという言葉が一般的に普及し始める頃、廃墟の建物は、再生の時代を生きる若きパイオニアの出現により、息吹を与えられ、シェアハウスとして蘇生します。建物は今日もまた、人々を迎え入れ、送り出し、海岸を前に佇みます。陽光と潮風を浴びながら、時が終わりを告げるまで。

軸組再生の住まい。

かやぶき民家の改修として始まった計画は、途中で取り壊し・新築へと変更。その解体する民家の古材や建具などを再利用し、新たな住まいへと継承することは、建築主の方も、設計士も共通の想いだったという、軸組再生の住まい。囲炉裏を切った板の間には、床暖房が組み込まれているそうです。

明治12年築の古民家の再生。

南側の玄関土間を大きく開口し、内部は床を張って居間・食堂・台所に。
2階を一部撤去して、上部から光を採るとともに、天井の低い圧迫感を軽減。
住まいの多くの部分が活用されず、寒さや細かな段差が問題となっていた、明治12年築の、古民家の再生です。

2DKマンション一戸分を丸々使ったLDK。

このLDKには、子供が勉強したり、奥様が書き物をしたり、多彩に使用できるカウンターが、壁一面に作り付けてあるそうです。そして、畳の小上がりは可動式。家族の変化に合わせて様々な空間が作り出せるそうです。

フレンチナチュラルスタイルの家。

日当たりや風通し、家族の暮らし方を考え、ワンフロアを広く一体に使うよう計画したリノベーション。調湿性を考え、内壁、天井は全てシラス壁。床材はパインの無垢フローリングやテラコッタ調のタイルを使用。かわいいだけでなく、心地よさまでが伝わってくる空間です。
人生という名の、長くくねった道のりを、一歩一歩、確実に歩む上で、拠り所となる、住まいと暮らし。道のりも、拠り所も、いつの日か、変化の時をむかえます。改修、修復、再生、一新。その背景にあるものは、革新を恐れない強靭な精神、人生をより豊かにするための知恵と勇気、問題の改善とポジティブシンキング、それら全てを幇助する、専門家の英知です。長くくねった道を歩む時、転ばぬように支えてくれる、一本の杖。その杖を、我々はすでに持っているのかもしれません。

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ライター/writer koagari