住まいに欠かせない要素の「光」は、取り入れ方、特に窓周りのデザインを少し洗練させると、簡単に美術館や図書館のような空間が実現できます。今回は身近な存在の窓に焦点をあて、窓そのものと、その窓につながる周囲のデザインの工夫例を具体的にご紹介します。窓周りの、特に床・壁・天井と接する部分に注目して、どんな工夫をしているのかを見ていきましょう。
吹き抜けに面した大開口を採用する
吹き抜けに面して縦長の大開口がデザインされています。注目したいのは、窓の下の部分です。階段と同じ材料を使って、階段状の読書コーナーが設けられています。開口部を縦長にすると、たくさんの光が入るだけでなく、窓の外に見える縦長の木々の景観も楽しむことができます。それだけではなく、読書コーナーが設けられることにより、その光溢れる場所に「居場所」ができていろいろな過ごし方が可能になっています。
光を最大限取り込む工夫
窓などの開口部には既製品を採用することが多く、その方が安価になります。そういった既製品サイズのものを採用した場合でも、光を最大限取り込むことができる工夫があります。写真の正面に見える2つの窓をよく見てみてください。左側の窓は、開口部の枠もなく、窓との境目から壁や天井に繋がっています。右側の窓は、その開口の高さに合わせて天井にし、左側の窓と同じように周囲の壁や天井と繋がっているのです。つまり、袖壁や垂れ壁、腰壁があるとその部分が暗くなりますが、逆にそれらを省くと周囲の壁や天井が光を反射して、実際の開口部の大きさよりも広範囲に光を取り込むことができます。
ハイサイドから効果的に光を入れる
キッチンの吊戸の上、ハイサイドの窓を見ていただくと、さきほどの例のように袖壁や垂れ壁がなく、周囲の壁や天井に反射した光が回り込んで明るい空間になっています。また、採光だけではなく、窓が通風にも考慮されて開閉できるようになっています。部屋の隅の部分が壁であれば陰になってしまい暗い空間になりますが、ここでは開口を設け、光を取り込むことで昼間に照明器具を付けなくても明るさを確保できるようになっています。
光を遮らない階段にする
せっかく大きな窓を吹き抜け部分に設けて光を室内に最大限取り込めたとしても、すぐ近くにある階段などがそれを遮ると室内の奥までその光は届きません。開口部周りのデザインを考える時、すぐそばの床・壁・天井だけではなく、階段、家具などのデザインも一緒に考えるとより効果的になります。開口部から入ってきた光をどのようにして室内の奥まで導くか時と場合によって考えて、豊かな室内空間を実現してみてください。
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ライター/writer 眞田 育