大きな可能性をひっそり湛える、細部の力。例えばそれは、生命を担う細胞のひとつであったり、空間を担うディテールのひとつであったり、企業を担う人材のひとりであったりします。勤め先のスタッフ、Aちゃんは、年若くして気配りの鬼。西に悩む者あればその肩をそっと抱き、東に泣く者あればその涙をそっと拭い、日々、敬語を崩さず、姿勢を崩さず、定期預金も崩さない。会社には、スタッフ各々がその日のスケジュールをマジックで書き込む、作業日程表と呼ばれるホワイトボードがあります。『三宅:草屋根工務店15時打合せ→17時戻り』といった具合です。毎日、そのホワイトボードの前にじっと佇み、スタッフの様々なスケジュールをジロジロと眺める、Aちゃんの姿があります。スムーズな対応を心がけるAちゃんは、ホワイトボードが発信するスタッフの所在地を、常時脳内にインプットしているのです。ホワイトボードの発信を受信しないスタッフたちが、今日も今日とて、つぶやきます。「あれ?三宅さんはどこにいった?」一秒でも早く、光より速く、Aちゃんが応えます。「草屋根工務店でございます!!」
クールなコンクリート打放しの空間に、暖かみを与える素焼きのタイル。
コンクリート打放しの壁で囲われた地階の外部空間に、床面のテラコッタタイルが暖かみを与えているこちらの空間は、照明の効果や、水鉢、グリーンの存在も相まって、見る者に端正な印象を与えます。クールでありながら、暖かい。相乗効果が美しく映える空間です。
浴室をさわやかに明るく保つ、ガラスブロックの壁面。
開放感が得られ、視線を遮ることもできる、ガラスブロック。間接的な光が、やわらかな空間を創り出しています。湿気を帯びる浴室ですが、爽やかさと明るさがあれば、入浴中の気分が、さらに良いものとなるでしょう。
調和が織りなす美しき世界観。
天然の造形美を最大限に引き出す照明の効果。大きな陰影を受け止める広い白壁。
作り手の感性と、住まう者の感性が合致したとき、街並みという空間にも、ちょっとした革命が起きるのではと、そんなことを感じさせる、美しき世界観です。
細部の中の細部。レトロな茶色の丸形スイッチ。
コンセント穴の構造の関係で、購入してきた丸形スイッチが設置できず、一枚木のパネルを噛ませて塗装することで、一層懐古主義的な香りを放つスイッチができあがったという、こちらの事例。意外なトラブルの発生と、怪我の功名は、リノベーションの面白さの1つでもあると、建築家の方は語っています。マイナスをプラスに変える力を持てば、創造の神様が微笑むのです。
黒漆喰塗りの壁。漆黒の玄関。
左手の色和紙を配した紙障子は、居間への入り口だそうです。
その障子の白と、玄関の黒と、照明の色合いが、空間に重厚感を与えています。
黒漆喰塗の壁。昼間はどう映るのでしょうか。興味深々です。
省スペースでありながら、機能性とデザイン性を含むカウンター飾り棚。
こちらは、手荷物を置くことができるカウンターとしても機能し、空間演出するための飾り棚としても機能する、玄関ホールの棚の事例です。その他の写真もごらんください。設計上にある様々な課題を、いかにデザイン処理していくかが考えられた空間から、伝わってくる世界観は、シンプルイズベスト。レスイズモア。
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ライター/writer koagari