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住宅にはさまざまなデザインがあります。特にアメリカは、世界で最も多様な住宅デザインが見られる国。それは、アメリカがヨーロッパ各国からの入植者によって築かれたからです。
初期の入植者たちは母国で主流だった住宅デザインを参考に、入植先の土地で手に入る材料を使い、その土地の気候風土に合わせて家を建てました。その後、社会や経済の発展により富裕層が生まれてくると、彼らは住まいに「文化的な価値」を与えることを試み、当時のヨーロッパで流行していたデザインや建築様式を取り入れるようになりました。住宅デザインは人々の暮らしの変遷を映し出すものでもあるのです。
今もアメリカでは住宅デザインが文化として認識されています。そのデザインにはどのようなものがあり、どのような歴史的背景を持つのでしょうか。代表的な建築様式と、それに相応しいインテリアスタイルをご紹介しましょう。
16世紀初頭のフロリダを皮切りに、カリフォルニアやテキサス、アリゾナなどアメリカ南西部へのスペイン人の入植が進むと同時に普及したのが「スパニッシュ・コロニアル様式」です。コロニアルは植民地の意味。スペインはコロンブスのアメリカ大陸発見を導くなど、大航海時代のリーダーとして繁栄を極めました。
赤茶色の瓦屋根、漆喰塗りの壁、アーチ状の開口、鉄製の格子や金具などによる装飾が外観デザインの特徴で、そのルーツは地中海に面したスペイン南部アンダルシア地方の住宅にあります。
アンダルシア地方の住宅は温暖な気候から、また、歴史的にイスラム文化の影響を強く受けていることから、パティオ(中庭)を設けることが多いのも特徴です。パティオと各居室を効果的に組み合わせれば、光と風を身近に感じる開放的な暮らしを実現することができます。
スパニッシュ・コロニアル様式は多彩な要素と鮮明なコントラストが持ち味。インテリアにも、木、鉄、革など、素材感を活かした取り合わせが多いようです。
「ニューイングランド様式」はブリティッシュ・コロニアル様式とも呼ばれ、17世紀前半に起源を持ちます。スペイン人に続いて新大陸に渡ったイギリスの清教徒(ピューリタン)による最初の入植地は、バージニア州ジェームズタウン、次がマサチューセッツ州プリマス。プリマスを起点にアメリカ北東部に定住した人々は、その地を「新しいイギリス=ニューイングランド」と呼びました。
彼らは家を建てるにあたり、アメリカの豊富な森林資源を活用したことから、この様式では外壁に細い板を重ね張りしています。そして、急勾配の切妻屋根を架けるのが外観の特徴です。
この様式のインテリアは、清教徒の価値観を反映してシンプルで実用的、かつ、清潔感があります。それがよく表れているのが家具のデザインで、コームバックと呼ばれる櫛形の背もたれが特徴のウィンザーチェアが当時流行しました。このデザインは今も広く親しまれています。
「ジョージアン様式」は国王ジョージ1世から4世の時代(1714年〜1830年)にイギリスで流行しました。アメリカには18世紀前半に持ち込まれ、バージニア州を中心に発展しました。
この様式はルネサンス建築の影響を受けています。そのため住宅の外観はシンメトリー(左右対称)で、格調の高さと気品にあふれるデザインとなり、富裕層の人々のステータス・シンボルとして愛されました。
この様式ではインテリアも格調高くコーディネートすることをお勧めします。ジョージ王の時代のイギリスでは、高級材として知られるウォールナットやマホガニー、サテンウッドがインテリアに好んで使われていました。また、この時代は英国家具の黄金期でもあり、家具職人や建築家が現代に残る家具様式を生み出しました。チッペンデール様式やアダム様式はその代表格で、優美さと軽快さを併せ持ち、ジョージアン様式の住宅によく合います。
イギリスで18世紀後半、イタリアのヴィラ(荘園邸宅)建築にヒントを得た「イタリアン・ヴィラ様式」が流行しました。19世紀半ば頃にそれがアメリカに伝わると単純化され、屋根と外壁の統一感を演出する軒下の「ブラケット」や窓まわり全体を強調する「フレーム」など、装飾的な要素だけを採り入れて発展。「イタリアネート様式」として確立されました。
この様式の特徴は装飾的な演出にありますから、インテリアもそれに合わせて華やか、かつエレガントにコーディネートしたいもの。モールディング(天井と壁の取り合い部に用いる造作材)をロココ調のデザインにしたり、柄物の壁紙を選んだり、床材の一部を大理石調にしたり。照明器具やカーテン、椅子の張り地などの選び方でも雰囲気が一変します。
初期ドイツ移民など早い時期のアメリカ入植者たちは、母国からハーフティンバーの住宅をアメリカに持ち込みました。ハーフティンバーとは、柱や梁など木造の骨組みを外部に露出させ、骨組みの間を漆喰やレンガで埋めて壁とする工法(家のつくり方)です。その後、成功を収めた彼らは、経済的な繁栄に見合う文化的な資産を自らの故郷の住宅デザインに求めました。“成功者の邸宅”と称される「チューダー様式」が19世紀後半にアメリカで発展したのは、このような理由からだと言われています。
チューダー様式の住宅は年月を経るごとに素材の味わいが増す、趣き深いデザインです。インテリアにもそれらの素材が表れ、重厚感を生み出しますから、全体に落ち着いた雰囲気でコーディネートするのがいいでしょう。木質感を活かした家具を選ぶとバランスが取れます。
チューダー様式は家具デザインにも及び、テーブルなどの脚に施された球根型の彫刻(メロンバルブなどと呼ばれる)やスクリュー状の支柱が代表的なものとして知られています。無垢材に細かく彫刻を施すデザインは存在感がありますが、柱や梁などの木部が力強く室内に表れるこの様式の住宅にはよく合います。
アメリカの住宅の出発点はコロニアルスタイル。入植者が母国の建築様式を採り入れながら住まいをつくったことに始まり、その後、他の様式との折衷や気候風土、ライフスタイルなどによる変遷を経て、合理的に発展してきました。
東急ホームズの輸入住宅「ミルクリーク」は、アメリカの住宅におけるこれらの建築様式を忠実に踏襲しています。ここでご紹介した他に、オランダの伝統を受け継ぐトラディショナルな「ニューネザーランド様式」、ギリシャの古典文化への回帰運動グリーク・リバイバルを展開させた「フェデラル様式」、アメリカを代表する建築家フランク・ロイド・ライトが普及させたことで知られる「プレイリー様式」もラインナップしています。
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それは家族の人生をつくること。
ミルクリーク
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