最期までここで暮らす。バリアフリー×デザインの挑戦5選

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夢を叶えて手に入れる、こだわりがいっぱいつまったマイホーム。「これが終の棲家だ」と心に決めている方も多いでしょう。でも、ちょっと待って。そのおうち、「誰でも」住みやすいおうちですか?多少不自由が出てきても、自分でできることがまだまだあること。介助する人が負担だと思わないこと。いつまでも充実した暮らしを続けるには、体が言うことを聞かなくなっても自由に動き回れる設計が本当に大切。高いデザイン性を保ちながら、どんな人にも住みやすい家づくりのアイデアをまとめました。

一石二鳥のレールフリーな引き戸

引き戸のレールの手ごわさは、車いすを使うようになると思い知らされるもの。たった数ミリのレールの溝を超えるための、一瞬の力みも毎日のこととなるととても辛い。また、転倒の原因になるのは大きな段差ではなく、意識の中からふっと外れてしまう、小さな段差や突起であることの方が多いのです。だから床面のレールはなくしたデザインはいかが。ほら、部屋と部屋の間で視線も分断されなくて、奥ゆきがなんだか広く感じられる。

ワンステップを見守る階段

足腰が弱くなってくるから、できるだけ平面的なつくりの家がいい。バリアフリーを考える時に、当然浮かぶ発想です。けれど自分で歩けるうちはできるだけ自力で歩くことが、介護現場では常識。低下する身体機能を回復、あるいは維持するために階段の上り下りを暮らしの動線に残すのも、バリアフリーのかたち。安心してください。傾斜をゆるく、踏み板を広く。両手が届く幅で設計すれば、両手でしっかり手すりをつかめる。力強く前に進もうとする人を、しっかりホールドしてくれる階段を作ればいいのですから。

「一人で平気」の証人になってくれるお風呂

一日の終わりにふうっと一息。リラックスできるはずのお風呂が、憂鬱で神経が張りつめる場所に変わる原因は、濡れた床の上で、腰をかがめたり、片足で体のバランスを取る場面が多いから。洗い場に腰かけを作っておくだけで、お風呂は変わらずやすらぎの空間でいてくれる。体を洗う時もしゃがまずに座っていられるし、浴槽に入る時もへりをまたぐという一大イベントが省略できます。裸のつきあいは、できる限り対等でいたいですもんね。

センスアップするエレベーター選び

エレベーターの機械的な無骨さは、インテリアデザインを重視するとどうも邪魔に思えてしまうことが多いもの。ですが、家の中にエレベーターがあれば、車いす生活になっても家の中の自由さはほとんど失われません。便利さと美しさ、両立させたいなら、真っ白な扉がデザイン的な余白を生む、こんなエレベーターなんてどう?ポイントになる四角い小窓と障子の格子を並べれば、こんなに優しげでモダンな空間が生まれてくる。

寝坊が癖になるかも?介護にうれしい水廻り設計

もし、誰かの介護をする時が来たら。自分が人の手を借りて生活するようになったら。要介護者の体にも介助者の体にも、できるだけ負担のないようにしたいですよね。特に毎日入りたいお風呂や、何度も行き来いたいトイレへの動線は今からきっちり確保しておきたい。寝室の扉を開けたら水廻りがあるなんて、理想的です。それに丈夫で元気なときだって、夜中にトイレに行くにも、朝さっとシャワーが浴びるにも、ベッドから直行できるなんて、嬉しいですもんね。
家じゅうに手すりをつけたり、ただ段差をなくしたり。本当に必要なバリアフリーって、そういうことじゃないんです。家族が、自分が、これから建てる家でいつまでも元気に暮らしていけるように、いくつになってもどんな状況になっても、笑っていられる日々をイメージし、デザインをすること。家づくりで一番大事なことが詰まっているのかもしれません。

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2014年07月16日投稿 リフォーム・増改築 介護の為の家 (回答数4)
ライター/writer little-maya