よく晴れた蒼く高い空で、起き抜けのトイレの便座の冷たさで、はたまたあの人の心変わりで、すっかり深まった秋を感じるこの頃。夏の間はシャワーに浮気していた人も、そろそろ本格的にお風呂が恋しい季節ではないでしょうか。シャワーと比べたら何となく億劫だけれど、やっぱりあの温もりが欲しくなるのが人の性。物思いにふけるもよし、半身浴でリフレッシュするもよし。そんなゆったり過ごせるバスルームを集めました。
さあ、秋の夜長のロング風呂。
大理石は素敵。
充分な広さをとった洗い場。大理石で仕上げた腰壁。すぐ外にはウッドデッキ。遠くには海。毎回思うけれど、本当に飽きる事が無い心地よさなのだ。我ながらナイスチョイスだったと自画自賛。そういえばこの大理石。父親が長年務めていた石材店を退職する時によくして頂いた社長さんより、「オレ秘蔵のいい石よ!いい墓が出来るぞ!困ったら売れや。ガハハ!」と餞別にいただいて温存していたものをスライスしたのだ。社長の優しさで温もり1.5倍。
フロフルリノベ。
議論は尽きること無い。
昭和感漂う風呂場から、バスルームへ。シャンプーで言うならメリットからTSUBAKIな感じだろうか。呼び名も風呂場ではなく、バスルームと呼びたくなるほどのフルリノベーション。大きな窓のある空間はとても明るく、壁天井に張られたヒバからはいい香り。綺麗なおねえさ、いや、バスルームは好きですかええ好きです好きです。が、昭和の雰囲気だって充分素敵。あなたはどっち派?リノベーションでもここまで出来ますよという一例です。
美味しいバスタイム。
外国の映画やインテリア雑誌でしばしば見かける、「猫足バスタブ」(「猫バス」と略すと意味合いが変わるので注意したい)のおしゃれな雰囲気に憧れる人は多いはず。「でも不便な面もあるでしょ?」と思われがちですが、カレーの鍋を洗うのが面倒でもカレー作りますよね。美味しいですよね。それと一緒。天秤にかけてる暇はありません。人生は短いです。
やれよ。やっちゃえよ。
泡風呂から足のばしちゃえよ。
柄のついたブラシで背中洗っちゃえよ。
やっぱりヒノキ。
色んな流行り廃りがあるなかで、いつの時代も確固たるポジションをキープしている安定感。私の中の日本人DNAが求めているのだろうか。もちろんすぐにどうこうなれるわけではないけれど、かといって完全なる高嶺の花でもない。つい想像してしまうのだ。あなたの懐に抱かれ、いい香りに包まれながらぼんやり坪庭を眺める私を。神様これが幸せですか。
「あんた起きてる?のぼせるわよ!」
ヒノキチオールの夢を醒ます、ユニットバスに響く母の声。
南向きに突き抜ける。
薄暗い方角に何となく位置している事が多いバスルーム。私の半生もそんなものだった。何となく働いて何となく遊んでいるうちに、何となくいい大人になれる気がしていたけれど、相変わらずの薄暗い日常。こんな毎日いやんと都心のワンルームを引き払ってきたのは、このバスルームのような突き抜け感をどこかで欲していたから。それなのに未だに半分しかお湯を入れないバスタブで、打ち上げられたヒトデみたいになって入浴している、突き抜けられない自分がなんだかんだ大好きです。
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ライター/writer kotoda