ここ数年、テレビや雑誌でよく「古民家カフェ」を目にします。使われなくなった昔ながらの日本家屋を味わいのあるカフェとして再利用、不便な場所にあっても人気店は結構な賑わいです。また、同じように古民家を改装して宿舎にしてみたり、ギャラリーとして生まれ変わらせたり、もちろんそこに住む人もたくさんいます。新築やリフォームでもあえて古民家をイメージするお宅も多いようです。今熱い注目を浴びている古民家の魅力とは何なのでしょうか。
新旧が調和する家
築120年の古民家をリノベーションしたお宅。古民家の重厚すぎる雰囲気が苦手という人でも、ここまで明るいダイニングキッチンなら楽しくお料理や食事ができますね。全てを新しい材料で改装してしまうとともすれば軽くなりがちなイメージを既存の大梁がきりっと引き締めています。リノベーションを繰り返していく度に竣工当時の部分は少なくなっていきますが、120年もの間その地に建ち続ける構造そのものに敬服します。
ぜいたくな子供部屋
見事な大梁にてっきり築何十年の古民家の改装だと思いきや、古民家風の子供部屋だそうです。天井部分を贅沢に開放させためいっぱい広く明るいお部屋です。勉強も遊びも伸び伸びできます。子供さんが小さければこの梁にブランコをつけてあげても楽しいですね。奥の階段は子供部屋専用のロフトへと続きます。たっぷりの収納スペースを持つロフトに配された間柱も古材風で落ち着いた空間を作りだしています。
明るく生まれ変わった民家
茅葺民家の改修計画が途中新築へと変更になった事例。解体にあたって民家の古材や建具などを再利用することは施主も設計者も共通の想いでした。とはいえ、以前の民家をそのまま再現するのではなく、現代にマッチした住まいへと変化させることも忘れていません。例えば写真のリビングの天井には丸太の小屋組梁りの上に組子障子が付けられ、天窓から天井裏に差し込む光が優しくリビングに注いでいます。明るさが広さをも伴って来たようです。
耐震も考慮して
今までも増改築を繰り返してきた民家で、一番古い部分が築100年という古民家。今回は耐震と断熱の強化、さらに高熱費の軽減をも狙ったリノベーションです。全ての希望を叶えるためにほとんどの部分を新しくしそうなのですが、建具等を再利用したことにより、改築部分も全く新しいイメージにならず、元あった部分とリノベーション部分が美しく調和されています。新しく張った木材が徐々に色を替え元あった部分に迎合されていくのが楽しみですね。
古材が生まれ変わった家
造り酒屋の工場の古材を住宅に転用。柱や梁の組み方も伝統構法にこだわって仕上げています。建具も他の和風住宅を解体した物を再利用しています。と聞くと、歴史を感じる建物を想像しますが、竣工したお家は明るく優しいイメージ。天井、壁、床、家具に多用した節ありの木材の色合いが明るいので、古材がアクセントとしてよく効いています。冬場に大活躍する薪ストーブの存在も和風住宅でありながら、北欧スタイルを彷彿とさせる仕上がりになっています。
民家再生
明治12年築の古民家が生まれ変わりました。広い古民家は家族が減っていくと共に使われない部分が増えていき、生活上の問題点もそのままになっていました。明るさの問題、寒さの問題、段差の問題、それらを今回のリノベーションによって解消し、暮らしやすい空間へと変化を遂げました。また、全てを現代風にしてしまうのではなく、古民家の持つモノクロームな静謐なイメージは崩すことなく要所に残し、以前とはひと味違う落ち着いた空間が誕生しました。
生き還った古民家
朝日放送の「大改造!!劇的ビフォーアフター」から依頼の住宅。築50年の木造の平屋建です。雨漏りや隙間風など建築上の問題やライフスタイルの変化などに対応したリノベーションですが、あえて土間や漆喰や和紙など日本古来の良いもので再生。障子は再利用しました。浴室はユニットバスではなく、ひのき壁と御影石の床という在来工法です。リノベーションして、生まれ変わったというよりも息を吹き返した古民家です。
職人さんの知恵と工夫が詰まった家
築70年の民家の再生です。当時の職人さんの知恵と工夫の詰まった材料と木組みを再利用することは、現代の設計者にとっては大きなやりがいであり苦悩でもあったようです。再利用だけでなく、そこに現代の法律に適った強さも加味しなければなりません。また、お施主様にとっては予算も最重要課題です。もちろん、暮らしやすさと見た目のステキさも大事です。それを試行錯誤しながらひとつづつ乗り越えて、素晴らしい住宅を実現しました。
関連まめ知識
関連Q&A
2014年06月01日投稿
デザイン・設計手法
梁の有無
(回答数2)
2014年12月19日投稿
建材
土間のある家
(回答数8)
ライター/writer さんたまる